2020年4月26日日曜日

守 破 離

修行には3つの段階があるといわれています。守、破、離です。
千利休の教えを和歌の形でまとめた利休道歌(りきゅうどうか)にある、「規矩作法(きくさほう) 守り尽くして破るとも 離るるとても本を忘るな」(教えを守り続けながらも、いつしかそれを打ち破り、離れていく事も大切であるが、そこにある基本精神は忘れてはならない)から引用された言葉です。※規矩(きく):コンパスとものさし

まず「守」の段階とは、師匠の言われた型を忠実に守り、基本を作っていきます。
合気道においては、この段階でまず合気道に必要な下肢の筋力、受けを取る際の体の柔軟性、自分のバランスを取るための中心軸を作る。このような部分を強化するものだと私は考えています。

「破」の段階では、師匠の型だけでなく他流派の型も研究し、自分に合ったより良い動きを模索し型を発展させていきます。
ここでは私以外の師範の技に、触れる機会を多く持ち、また他の団体や交流稽古を通じていろいろな人と稽古をする機会を設けて、自分の技や状態、癖などを客観視しできるようになること。またそこから自分の特性を見出し、それに合わせた技を模索していくことです。段位としては2段から3段くらいでこの状態になれると理想的です。私自身も体験してきた本部道場師範の先生方の技を多く紹介できるようにしていきます。

最後の「離」は技から離れ自在になることとされていますが、私もまだまだこの段階にありませんので、一緒に精進していく目標だと思って下さい。
ここで一番大事なのは、「本を忘るな」の部分だと思います。基本精神を見失ってはならない。基本の型をしっかり会得しなければ、形にならないという意味です。

私は合気道の稽古での一番大事な基本精神は、稽古を通じて合気道の身体、感覚を自分の中に練りこんでいくことだと思っています。この基本精神を忘れてしまっては、良い稽古になりません。単独動作の時も、受けの時も、取りの時も、剣杖などの稽古の時もすべて同じです。このような稽古を通じた体感、経験から生じたものは、必ず個人の感覚の中に宿ります。

 この修練によって出来上がったものこそが、何にも代え難い自分の努力で習得、獲得した自分の合気道を礎になるものです。これを大事に成長させる努力を怠らなければ、必ず良い合気道ができるようになると信じています。一緒に頑張っていきましょう。