2020年5月27日水曜日

6月からの稽古の説明

6月からの稽古は対人稽古を主に行うことが難しい状況となっています。今までの稽古ではなく、全く新しい稽古内容となります。その稽古の位置づけを、理解をしていただけるように説明して参ります。

まず合気道で養成される要素別に稽古の種類を3つに定義します。本来はそれぞれが独立しているのではなく、通常の対人稽古においてこの3つの要素をすべて修練することが出来ます。名称に関しては私が仮につけたものなので、泰門会内での用語として使用してください。

①「体(たい)の稽古」(体力稽古)
合気道を行う為の身体を養成していくことです。これは基本動作や受けを取ることによってできる筋力、持久力、体幹のバランスなど自分の体を動かすための基本的な身体能力の鍛錬です。

②「技(ぎ)の稽古」(反復稽古)
技の順序を覚え、体に落とし込んでいく反復動作の稽古です。頭で分かっても動かなければ体に染みついていきません。無意識に動作が行えるようになるまで繰り返す稽古です。

③「心(しん)の稽古」(感覚稽古)
対人稽古においてもっても重要な相手の重心や動作の起こり、攻撃の初動や変化を読み取る力を身に着ける稽古。また自分の体の運用に無駄な動きを感じ取り、拍子をつけたり反動や予備動作を失くせるよう内観する稽古です。

合気道は対人稽古に重きを置いています。体術においては空手道や中国拳法のような一人で行う型がほとんどありません。対人稽古が出来ない場合、「受け」の「体力・反復稽古」、攻撃に対する「感覚稽古」は、行うことが難しいです。また今まである基本動作は、基礎鍛錬が主目的の為、「体力稽古」の要素が強い稽古となります。

そこでこの状況下に対応するために、泰門会では新しい「独習の型・動作運動」と「稽古方法」を開発していきます。まず「取り」の「反復稽古」の向上が、主目的になります。再開後の稽古は、まったく新しい稽古方法だとご理解ください。わたしもはじめてのことなので、実験的な稽古になると思います。参加者の方は率直なご意見をお聞かせください。随時調整していきます。

また道場に直接参加できない方々には、前と同じように限定動画を配信しますのでご覧になって実践してみて下さい。新しい「独習の型・動作運動」と「稽古方法」が確立できれば、オンライン稽古も可能になると考えています。もちらん剣と杖に関しては、一人で行う型は稽古可能です。

私個人としては、対人稽古が最も合気道の稽古として良いと思っていますが、状況に合わせて柔軟に変化していくことも合気道的な考え方だと思います。しかし稽古方法が変わったとしても、私が合気道で伝えたいことは同じです。思いは今まで以上に強くなっています。皆様のご理解ご協力をよろしくお願いいたします。

本部道場再開に向けての お知らせ(参考文書)

本部道場再開に向けての お知らせ

本部道場 で は 政府(東京都知事 による 「 緊急 事態宣言 」 解除 に伴い 、 6 月 1 日 月 からの 道場活動 を 再開 いた します 。再開に際し ましては 、何よりも 会員の皆様と職員の安全を第一と考えております。 そのためいろいろとご不便をおかけいたしますが、皆様のご理解とご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。稽古にお越し になられた 際は 、 下記事項の順守と徹底をよろしくお願いいたします。

道場来場時
① マスク着用
マスクは各自にて ご持参ください。マスクなしでは入場できません。
② 手指の消毒
消毒用 アルコールを受付前にご用意いたします。 手指消毒の上ご入場下さい。
③ 体温と体調確認
体調不良の方は稽古できません。目安として体温が 37 度以上の方、咳をされる方 は
稽古 をご遠慮下さい 。 検温は受付 時 に 行います。
④ 受付 (会員証提出)
連絡先について再確認しております。受付の所定の用紙、もしくはフォームから連絡先を 必ず お教えください。
フォームリンク
⑤ 混雑緩和のための人数 制限
一人当たり3 畳を目安に、本部三階道場 35 名、本部二階道場 24 名、本部四階道場12 名の定員を基準にします。人数を超える場合は二つに分かれての稽古となります。
従いまして、本部道場での稽古は当面、本部道場の月 会費を納めていただいている 会員のみに限らせていただきます。 他の道場の方のご参加はご遠慮 願います 。

⑥ 家族・関係者の同意
本部道場では感染防止に努めますが、リスクを完全に避けることはできません。万が一、感染した場合にも、その責任が各個人にあることをご了承ください。 ご家族・関係者の同意の上 での ご 参加 をお願い いた します 。

更衣室
① マスク着用
更衣室内での会話はお控えください。
② 稽古の前後の 手洗い・うがいと手指消毒 の徹底 をお願いいたします。
③ 更衣
更衣室の混雑防止のため 、 男性は4 F 道場も 道場使用がない場合は 使用可能です。女性は2F 応接室も使用可能です。但し、荷物は更衣室内のロッカーをご利用ください。
④ 定員
更衣室の定員は以下のようにさせていただきます。譲り合ってのご使用をお願いします。
3F 男性更衣室 8 名
4F 道場 12 名
2F 女性更衣室 4 名
2F 応接室 女性更衣室 2 名
⑤ 袴の着脱は道場でお願いいたします。
⑥ 道着は毎日、お持ち帰りください。

稽古
① マスク着用
② 整列の際は、互いに前後(半畳)左右(一畳)ずつ間隔をあけてください。
③ 密緩和のためグループに分けて稽古する場合がございます。
④ 感染予防のため道場内の剣杖は撤去いたします。
⑤ 当面の稽古は対人での接触を行わないかたちで実施します。
⑥ 同日の複数クラスへの参加はご遠慮ください。

稽古終了後
① 居残り稽古はしばらくの間お控えください。
② 手洗い・うがいと手指消毒の徹底をお願いいたします。
③ 更衣室には定員があります。直ぐに更衣が出来ない方は道場でお待ちください。
④ 袴の着脱は道場でお願いいたします。

時間割(当面の間、以下の時間割にさせていただきます。)
一般クラス
平日6:30、15:00、19:00
土曜6:30、10:30、15:00、19:00
日曜9:00、11:00
初心者クラス(有段者の参加はお控えください。)
平日7:00、18:00
土曜7:00、9:30
日曜10:00
女性講座 通常通り
女子部 当面中止
少年部 新宿区の公立校再開に準じて再開
その他
① 道場玄関前でのグループでの会話はお控えください。

2020年5月5日火曜日

稽古について

私は、合気道の稽古の効果の一つは、「問題解決の方法の訓練」だと思っています。

合気道の技を行うためには、まず手順を覚えなければいけません。皆さん技を見て、何回も投げ、投げられて順序を覚えます。しかし手順を覚えたのに、どこか上手くいかないことを感じることが多いでしょう。稽古の後に考えたり、指導者や先輩から助言をもらうと、さまざまな原因が明らかになります。「身体がふらついている。力みすぎている。姿勢が悪くなっている。間合いが悪い。などなど・・。」ここで「自分はダメだ。」などと悲観しないで下さい。修行者はみな完璧ではありません。技が上手くいかないのは、自分自身の能力が根本的に欠けているというわけでは絶対に無いと私は思っています。そうであるならば、稽古をして努力する意味は、無くなってしまいます。

 合気道に限らず、初めから自分の思い通りに何でもできることは何一つとしてありません。上手くいかないのは、いくつかの原因があるだけです。そのひとつひとつを丁寧に解決していけば、必ず技は向上していきます。その道筋を私たちは稽古から学んでいるのです。

問題解決の方法はとても単純です。
①現状の把握
②原因の特定
③解決策を考え実行する。

稽古に当てはめると
①「技の際にふらつく」
②「下肢の筋力が弱い」
③「下肢の筋力強化の為、基本動作の練習を増やす」
といった感じです。

この訓練はあらゆる社会生活の向上にも役立てることが出来ます。一般部はもちろん少年部でもこのような訓練を小さい頃から行うことによって、問題解決に対して逃げずに向っていく心構えが育成されます。
私はこのように合気道の稽古を続けていきたいと考えています。



2020年5月4日月曜日

子供クラスで大切にしていること

私が子供クラスの稽古で大事にしていることは、子供たちに正しい成功体験をさせてあげることです。
「何か一つの技術なり型を自分が努力をして獲得し周りから称賛される。」「ごまかさず真剣に頑張れば報われる。」といった経験を稽古の中で積ませていきます。自分で獲得したものですから大きな自信にも繋がります。人から簡単に与えられたものでは、決して本当の自分自身を信じる力は、生まれません。自分を信じる力「自己肯定感」を養うことが、何事にも挑戦していくことが出来る、心の基盤になります。

合気道は試合がありません。チーム同士が戦い相手に勝つこともありません。戦力にならない子供たちは控えになり試合に出れないということもありません。もちろん勝負や集団競技も子供たちの発達の上で大変重要な要素です。それは競争のある場面で、彼らは学んでいくことだと思います。

合気道の稽古は、勝敗がない分自分の向上に目を向けやすい特性があります。勝負は相手に勝たなければなりませんが、向上は常に相手は今までの自分自身です。

子供たちは、根源的に向上したいという気持ちを持っています。その本人たちのやる気をその個性に合わせて、最大限伸ばしてあげることが、指導者としての私の務めだと思っています。私は、この「自己肯定感の養成」を子供クラス指導で一番大切にしています。








2020年4月26日日曜日

守 破 離

修行には3つの段階があるといわれています。守、破、離です。
千利休の教えを和歌の形でまとめた利休道歌(りきゅうどうか)にある、「規矩作法(きくさほう) 守り尽くして破るとも 離るるとても本を忘るな」(教えを守り続けながらも、いつしかそれを打ち破り、離れていく事も大切であるが、そこにある基本精神は忘れてはならない)から引用された言葉です。※規矩(きく):コンパスとものさし

まず「守」の段階とは、師匠の言われた型を忠実に守り、基本を作っていきます。
合気道においては、この段階でまず合気道に必要な下肢の筋力、受けを取る際の体の柔軟性、自分のバランスを取るための中心軸を作る。このような部分を強化するものだと私は考えています。

「破」の段階では、師匠の型だけでなく他流派の型も研究し、自分に合ったより良い動きを模索し型を発展させていきます。
ここでは私以外の師範の技に、触れる機会を多く持ち、また他の団体や交流稽古を通じていろいろな人と稽古をする機会を設けて、自分の技や状態、癖などを客観視しできるようになること。またそこから自分の特性を見出し、それに合わせた技を模索していくことです。段位としては2段から3段くらいでこの状態になれると理想的です。私自身も体験してきた本部道場師範の先生方の技を多く紹介できるようにしていきます。

最後の「離」は技から離れ自在になることとされていますが、私もまだまだこの段階にありませんので、一緒に精進していく目標だと思って下さい。
ここで一番大事なのは、「本を忘るな」の部分だと思います。基本精神を見失ってはならない。基本の型をしっかり会得しなければ、形にならないという意味です。

私は合気道の稽古での一番大事な基本精神は、稽古を通じて合気道の身体、感覚を自分の中に練りこんでいくことだと思っています。この基本精神を忘れてしまっては、良い稽古になりません。単独動作の時も、受けの時も、取りの時も、剣杖などの稽古の時もすべて同じです。このような稽古を通じた体感、経験から生じたものは、必ず個人の感覚の中に宿ります。

 この修練によって出来上がったものこそが、何にも代え難い自分の努力で習得、獲得した自分の合気道を礎になるものです。これを大事に成長させる努力を怠らなければ、必ず良い合気道ができるようになると信じています。一緒に頑張っていきましょう。